■慢性胃炎、消化性潰瘍では
H・ピロリが高頻度で検出
細菌が胃炎や消化性潰瘍の原因では
ないかという説は、1979年、オーストラ
リアの病理医 J・R・Warrenが、慢性胃
炎患者の胃粘膜から高頻度にらせん状
の細菌、H・ピロリ(Helicobacter pylo
ri)を検出したことにより始まりました。
以後、世界各地から消化性潰瘍や胃 炎患者からH・ピロリ検出の報告が相次
ぎにわかに脚光をあびるようになったのです。
■日本の食習慣に関係している?
感染経路
H・ピロリの感染経路は、主に糞便、
経口に感染すると考えられていますが 「日本の食習慣にもおおいに関係してい
る」という専門家もいます。杯を返す、一 つ鍋をつつく、といった日本独自の食習
慣が人から人への感染を増やしているのではないかというのです。又、汚染された内視鏡による感染例も報告されています。 |
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■H・ピロリの除菌はどのように
行われるのか
消化性潰瘍の再発率を低下させるためにはH・ピロリを除菌するための治療が必要ですが、潰瘍の初期治療でもH・ピロリを除菌したほうがよいというのが一般的な考えです。その方法としては酸分泌抑制剤(プロトンポンプインヒビター)に抗生物質を併用したり、抗生物質以外にもH・ピロリの除菌に効果があるといわれる薬剤を併用することですが単に再発を防止するだけでなく、将来の胃がんを防ぐためにもH・ピロリは除菌したほうがよいと唱える専門家もいます。
その理由は、H・ピロリによる慢性炎症が萎縮性胃炎を引き起こし、萎縮のあるところに前がん状態ともいうべき腸上皮化生という病変をつくり、これが分化型がんの素地になるからです。これはあくまでも仮説ですが、胃がん患者の血清中では、H・ピロリの抗体価が高かったというアメリカの成績がこの仮説にいっそうの信憑性を与えています。
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