知柏地黄丸
ちばくじおうがん



「知柏地黄丸」は、中国の医学書「医宗金鑑」に記載されている薬方です。
「知柏地黄丸」は、日本でもよく知られている「六味地黄丸」に知母と黄柏を
加えた処方です。
口渇、付かれ・だるさなどの症状を伴う場合に用いられます。

【 組 成 】
熟地黄4.0、山茱萸4.0、山薬4.0 牡丹皮3.0、沢瀉3.0、茯苓3.0、
知母3、黄柏3 


中医学としての解説
 滋補腎陰の地黄が主薬です。養肝益腎・渋精の山茱萸と滋腎補脾・滋精の山薬が地黄を補佐し、肝・脾の陰を滋補し精の漏出を防止することにより滋腎を強めます。
利水滲湿の沢瀉・茯苓は陰虚で流動性をなくした湿濁を取り除き清虚熱の牡丹皮と清熱の沢瀉は陰虚の内熱を冷まします。これら六味丸の処方に瀉火の知母・黄柏を加えて
陰虚火旺に適用しています。

【 効 能 】
    滋補肝腎・清熱瀉火

【 適応症 】
    肝腎陰虚:
       頭がボーッとする・頭がふらつく・思考力減退・めまい感・
       耳鳴・難聴・腰や膝がだるく力がない・口渇(とくに夜間)・
       咽の乾き・体の熱感・手のひらや足のうらのほてり・歯の動揺・
       寝汗・遺精・性欲の仮亢進(勃起不全・早漏・快感がないなど
       の機能不全をともなう)・尿が濃い・尿の余瀝・便がかたいなど
       の症候。
       肝腎陰虚で陰虚火旺の症候があきらかなもの
       女性では、無月経・経血量が少い・無排卵などがみられる。
       舌質は紅〜暗紅で乾燥・舌苔は少いあるいは無苔・
       脈は細数〜弦細数。
       乳幼児・小児の発育不良や知能の発達不良などにも用いる。

【 臨床応用 】
      糖尿病・自律神経失調症・高血圧症・動脈硬化症・慢性腎炎
      ・甲状腺機能亢進症・肺結核・慢性尿路感染症・気管支喘息・
      強皮症などの慢性疾患や、無排卵・無月経・過少月経などの
      婦人科疾患などで、肝腎陰虚で陰虚火旺を呈するもの。
      あるいは小児や乳幼児の発育不良・知能発達不良など。

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