万病を引き起こす「血栓症」
 日本人の病気の七割は血栓症が原因だといわれている。死亡率のトップは悪性腰瘍(ガン)だが、これと並んで致死率の高い心疾患・脳疾患の多くは、血管性疾患によるものだ。血栓症は、徐々に進行していくガンと違い兆候が見えにくく、突然、重篤な疾患を引き起こし、心筋梗塞や脳内出血などで死に至るケースも少なくない。しかも血栓症は急速に低年齢化し、脅威はより我々に身近なものとなっている。 
 血管は、身体のすみずみへ酸素や栄養を運び、体内にたまった老廃物を運び出す生命活動のパイプ役を担う。心臓や肝臓などのあらゆる臓器を覆う血管、また血管そのものにも張りめぐらされた毛細血管を血液が通って、滞りなく循環することで体内の新陳代謝は行われている。

 しかし、この大切な血管も、二十五歳を過ぎる頃から老化が始まる。血管壁には脂質などの不純物がたまり始め、血管内がだんだん狭くなっていく。これが、目に見えない部分での血管性疾患の始まりとなる。
 血管性疾患とは、血管の中で、血栓といわれる血液の固まりが引き起こす症状。血栓は、フィブリノーゲン(繊維素原)というタンパク質が活性化されたフィプリン(繊維素)を主とした固まりで、血小板、白血球などが血管の内壁に固まり、それが血流によって、はがれて出来る。
 身体が正常なときには、この血栓のもととなるフィプリンを溶かす働きをする「線溶酵素」が血栓予防をしてくれるが、線溶酵素が不十分になるとフィブリンを溶解出来なくなる。するとスムーズな血流を阻害する血栓が増え、この血栓が毛細血管に入り込むと、血管にフタをして血流を止めてしまい、脳でならば脳梗塞、心臓でなら心筋梗塞を引き起こす。
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