生活習慣の改善

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 高血圧は代表的な生活習慣病であり、生活習慣の改善によって、程度の差はあるが降圧効果が見られる。
 生活習慣の改善は、高血圧の予防だけではなく、降圧効果もある。

■食事療法

1・減塩療法
 食品から摂取する塩分を制限することで、体内に余分な塩分・水分を摂取するのを防ぐ。
 体内に余分な塩分・水分を溜めないことで、血圧が降下する、。
 塩分摂取により、容易に血圧が上がる人と、あまり上がらない人が居るが、塩分によって血圧が上がる人に
減塩療法はとても効果的である。
 一般に高齢者は食塩摂取により容易に血圧が上がるので、減塩療法は有用である。

塩分摂取の目標 : 10g以下(できれば7g以下が望ましい)


2・カリウム摂取
 カリウムはそれ自体による降圧効果は低いが、体内の余分な塩分(ナトリウム)を体の外へ排泄す
る働きがある。
 カリウム摂取量が多いほど脳卒中の発症率が低いことがわかっており、また、心血管疾患の予防
に効果的であると考えられている。

カリウムの主な補給源 : 魚・牛乳・果物類・豆類・野菜類・芋類 など


3・カルシウム・マグネシウム摂取
 カルシウムとマグネシウムの摂取量が多いと血圧は高くなりにくいことがわかっている。
 日本のカルシウム摂取量は600mg/日であるが、平均摂取量はこれに達していない。
 マグネシウムの補給により高血圧患者の血圧が下がることがわかっている。
 「カル2マグ1」と言われるように、カルシウムとマグネシウムをバランス良くとることが望ましいと言える。

カルシウムの目標摂取量 : 600mg/日(可能であれば800r/日)
主なCa補給源 : 乳製品・豆類・海草 など


4・脂肪
 魚油に含まれるEPA(エイコサペンタエン酸)には動脈硬化を防ぎ、血圧を下げる作用が報告されており、
いわしなどの青魚に多く含まれている。
 高脂血症は動脈硬化の危険因子であり、高脂血症を合併している患者は脂肪の摂取を控えたほうが良いでしょう。

EPAの主な補給源 : 青魚の油っこい部分に多く含まれる

■運動療法

 適度な運動は動脈硬化の予防につながり、降圧効果も期待できます。
 運動することにより、降圧だけでなく、インスリン抵抗性の改善や中性脂肪(トリグリセリド)の減少が
みられる。
 最大酸素摂取量の40〜60%の運動強度(目安として軽い有酸素運動を30〜40分)が望ましい。
 高齢者(60歳以上)の運動目安として心拍数で表すと、110拍/分を目標とする。
 脳血管系疾患、循環系疾患、腎障害、整形外科的疾患を合併する場合、降圧目的として、運動療法は
好ましくない。

運動量の目安 : 1回30〜40分、週3〜5回が望ましい。

●降圧療法に適する運動
 :等張性運動 (歩行・水泳・自転車・ジョギング など)
●降圧療法に適さない運動
 :等尺性運動 (ダンベル・ハンドグリップ・重量挙げ・相撲 など)

■体重制限

 肥満者と高血圧は密接に関係し、血圧上昇にインスリン抵抗性や交感神経系の関与すると考えられており、
減量により血圧が下がることがよく知られている。
 減量はまた、血清のコレステロール値も下げる効果がある。
 肥満の程度に関係なく、減量によって80%の人に降圧が見られたことから、減量は降圧に有効であるといえる。
 また、高血圧は脂肪分布と関連しており、上半身に脂肪が多くつく場合、高血圧やその合併症による死亡率が
高くなると言われている。

目安 : ウエスト/ヒップ比が  ♂1.0以上、♀0.8以上

■嗜好品

1・アルコール
 飲酒により血圧が上昇することはよく知られている。
 中等度以上(エタノール換算で30ml以上)の飲酒は避けるか飲まないほうが望ましい。
 摂取量が15ml(エタノール換算)を超えると高血圧の頻度は2〜3倍に増加する。
 

2・カフェイン
 カフェインには急性の血圧上昇作用があり、動脈の弾力も低下させる作用がある。

3・喫煙
 喫煙はそれ自身が血圧に与える影響は少ないが、心血管疾患などの高血圧の合併症に
大変重要な危険因子となるので、避けたほうが望ましい。

4・ストレス
 ストレスは高血圧発症の原因のひとつとされている。